呼吸器外科
基本情報
2016年6月に本院が新病院に移転したのを契機に、呼吸器外科を新しく開設いたしました。従来、呼吸器外科といわれる診療科は、その専門性の高さや特殊な医療機器が必要なことから規模の大きな大学病院や総合病院で開設されていることがほとんどです。一方、当院におきましては病院の規模自体はそれほど大きくはありませんが、最先端の医療機器の配備はもちろん、スタッフにつきましても呼吸器外科専門医の有資格医師2名(常勤医師2名)による診療体制を取っていることから、他の専門機関と同等以上の専門性と安全性の高い診療を皆様に提供できるものと思っております。また、当院は所沢駅の近隣に立地しており、非常にアクセスが良好であることから、長期にわたる通院となった場合、特に呼吸器疾患の患者さんにつきましては非常に有利となることと考えます。さらに救急診療にも非常に力を入れており、ご通院以外の疾患を患われた際にもお役に立たせていただけることと存じます。
診療疾患
① 肺癌
我が国において、「がん」によって亡くなった人は1981年に脳卒中を抜いて第1位となり、現在、およそ3人に1人は「がん」によって亡くなっています。その中でも肺癌の増加は特に著しく、男性は1993年に胃癌を抜いて第1位に、女性においても大腸癌とともに増加して胃癌を抜いて第2位に、全体においても1998年に胃癌を抜いて第1位となりました。
肺癌の治療については、迅速かつ的確な診断を基に、その肺癌の種類(組織型)や進行度によって適切な治療が必要となります。肺癌の治療には「手術」、「抗癌剤治療」、「放射線療法」と大きく分けて3種類あり、肺癌の種類や進行度によっては、これらの治療を組み合わせた「集学的治療」が必要となります。
手術につきましては、近年小型肺癌で発見される症例が増えてきたころから、肺癌に対しても胸腔鏡下手術を導入する施設が増えてきました。本院に着任する前に勤務していた群馬県立がんセンターにて、小型肺癌に対して積極的に完全鏡視下手術(傷が3から4か所の穴だけで手術をする方法)を施行しておりましたので、当施設においても胸腔鏡下手術を積極的に導入し、より低侵襲で、安全かつ根治性の高い手術を提供したいと思います。また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などよって低肺機能の患者さんや、高齢者の患者さんなど、手術によって術後の生活に大きく制限が受ける可能性がある患者さんに対しても、胸腔鏡下手術はかなり有益となりますが、それ以外にも必要に応じて、積極的縮小手術としてリンパ節郭清の省略や区域切除術(肺の温存手術)も考慮して行っていきます。
当院ではリハビリも充実していることから、術前と術後は呼吸器リハビリを行うことで、退院後の生活がよりスムーズに始められるようサポートいたします。入院期間についてはおよそ術後4日から7日間で、手術翌日より食事の摂取と歩行が可能となります。
② 炎症性疾患(膿胸、肺膿瘍、その他感染症)
肺炎が原因で膿胸や肺膿瘍をきたすことがあり、場合によっては手術が必要となる場合もあります。基本的には抗生物質による治療や、胸腔ドレナージ術などが第1選択となります。
③ 気胸
肺に穴があいて肺がしぼんでしまう病気です。根治的治療としては手術が必要となります。当院では、2から3つの穴をあけて行う胸腔鏡下手術を行います。気胸の手術の場合に注意する点としましては、根治手術をしたにもかかわらずある一定の率で再発してしまうことにあります。当施設におきましては、より再発が生じないように、胸腔内をくまなく観察し、再発しそうな部位に対しての予防処置(シートによるカバーリング、結紮、熱凝固など)を行ってきます。入院期間は通常、術後3日から5日間となります。
④ 転移性肺腫瘍
大腸癌の肺転移が最も多く手術の適応となります。転移性肺腫瘍の手術もほとんどが胸腔鏡下手術の適応となります。また、多発性に肺腫瘍を認めることや、異時性に多発してくることがあることから、少しでも肺を温存するために積極的に区域切除を行います。入院期間は手術の大きさにもよりますが、5日から7日間くらいです。
⑤ 縦隔腫瘍
大血管などへの浸潤のない小型の腫瘍に対しては胸腔鏡下手術の適応となります。前縦隔にできた胸腺腫などにつきましては、胸骨正中切開による手術の適応となる場合がございます。入院期間は術後5日から7日間くらいです。
⑥ その他
間質性肺炎や胸腔内のリンパ節の腫大に対して、確定診断をつけるための手術となります。ほとんどの場合、胸腔鏡下にて組織(肺、リンパ節)を生検します。入院期間は3日から5日間位となります。
医師紹介
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常勤医師
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ご挨拶肺癌、気胸、縦隔腫瘍、感染性肺疾患といった呼吸器外科領域の疾患に対して、各種高度専門施設で修練を積んできており、他の専門施設と比較しても遜色のない診療をご提供できるものと考えております。
また手術のアプローチについては、創部が小さく痛みの少ない「胸腔鏡下手術」を長年積極的に取り組んできており、肺癌や気胸、縦隔腫瘍に対して安全性と根治性を確保した胸腔鏡下手術をご提供できるものと考えております。ご気軽に御相談ください。 -
専門領域●肺癌
●気胸
●縦隔腫瘍
●感染性肺疾患 -
認定医・専門医等●医学博士
●日本外科学会指導医・専門医
●日本呼吸器外科学会評議員・専門医
●日本呼吸器外科学会胸腔鏡安全技術認定医
●日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡指導医・専門医
●日本呼吸器内視鏡学会評議員
●日本消化器内視鏡学会専門医
●日本癌治療認定医機構認定医
●がん診療緩和ケア研修終了者 -
所属学会●日本外科学会
●日本呼吸器外科学会
●日本呼吸器内視鏡学会
●日本肺癌学会
●日本癌治療学会
●日本気胸嚢胞学会
●日本結核学会
●日本消化器内視鏡学会
●日本臨床外科学会 -
主な経歴●杏林大学卒業(平成 8年卒)
●平成 8年5月 杏林大学旧第2外科(現呼吸器・甲 状腺外科)
入局
●平成14年4月 杏林大学呼吸器・甲状腺外科 助手
●平成16年4月 長岡中央総合病院呼吸器外科 医長
●平成18年4月 複十字病院呼吸器外科 医長
●平成25年7月 群馬県立がんセンター呼吸器外科 部長 -
業績学位論文:Influence of postoperative serum Interleukin-6 early recurrence after curative pulmonary resections of lung cancer
①喜多秀文, 他. Ⅰ期非小細胞肺癌例における術後再発の危険因子. 胸部外科, 60巻-10号: 883~887, 2007.
②喜多秀文. 呼吸器外科Knack&Pitfalls 専門医のための呼吸器外科の要点と盲点【Ⅱ】・肺真菌症, 文光堂: 96~98, 2010.
③Hidefumi Kita, et al. Dose Postoperative Serum Interleukin-6 Influence Early Recurrence after Curative Pulumonary Resection of Lung Cancer? Ann Thrac Cariovasc Surg, Vol.17-No.5: 454~460, 2011.
④喜多秀文, 他. 月経時に再手術が効を奏した月経随伴性気胸. 胸部外科, 66巻-12号: 1071~1073, 2013.
⑤喜多秀文, 他. リンパ節転移をきたした肺硬化性血管腫. 胸部外科, 66巻-13号: 1141~1144, 2013.
⑥喜多秀文, 他. 肺癌術後の口腔内転移に対し気管支鏡下エタノール注入療法が有効であった1例. 気管支学, 36巻-2号: 188~192, 2014.
⑦喜多秀文, 他. 長期生存が得られた肺癌術後小腸転移の1切除例. 肺癌 54 (6): 784-789, 2014.
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ご挨拶順天堂大学にて外科研修修了後、同大学呼吸器外科にて約10年間研鑽を積み、肺癌・気胸・胸部外傷をはじめとした呼吸器外科疾患の診療に従事してまいりました。2016年より当院にて診療を行っております。現在は呼吸器外科専門医としての診療に加え、救急医療にも深く関わっており、日常診療から緊急対応まで切れ目のない医療を提供できることが強みです。「いざという時にも頼れる外科医」であることを常に意識し、安全で質の高い医療の提供に努めています。患者様にとって最も納得できる治療を一緒に考えていきますので、安心してご相談ください。
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専門領域●一般外科
●呼吸器外科
●救急科 -
認定医・専門医等●日本外科学会認定専門医・指導医
●日本呼吸器外科学会認定専門医
●日本がん治療認定医機構認定がん治療認定医・責 任指導医
●肺がんCT検診認定機構認定肺がんCT検診認定医
●日本がん治療認定医機構認定がん診療緩和ケア研 修終了者
●日本医師会認定産業医
●日本救急医学会ICLSコースディレクター -
所属学会●日本外科学会
●日本呼吸器外科学会
●日本肺癌学会
●日本胸部外科学会
●日本救急医学会
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非常勤医師
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呼吸器外科吉田 勤よしだ つとむ
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呼吸器外科松脇 りえまつわき りえ
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肺がん検診 ならびに 人間ドックに
おける胸部レントゲン検査にて
「精密検査が必要」と判定された方へ
おける胸部レントゲン検査にて
「精密検査が必要」と判定された方へ
肺がんは、50歳以降の男性に起こりやすい病気です。男性:女性=2.5:1とされています。
喫煙をしている人は、していない人に比べ約4倍肺がんにかかりやすくなると言われていて、若い頃からたくさん喫煙されていればいるほどその危険は増すことになります。
ご自身が喫煙していなくても、煙を吸い込む受動喫煙も肺がんのリスクになります。
現在喫煙されている方も、禁煙すればタバコを吸い続ける場合に比べて肺がんのリスクが減ると言われています。
喫煙以外にも、慢性閉塞性肺疾患(いわゆるタバコ肺で肺気腫やCOPDとも呼ばれます)やアスベストなどへの職業暴露、大気汚染なども肺がんの危険因子と言われています。
肺がんの多くは初期では無症状です。肺には痛覚がないので、肺の中にがんができても自覚症状が出にくいのです。
検診は無症状のうちに早期の病気を発見し、治療につなげることが大きな目的です。
胸部レントゲンで異常を指摘され医療機関を受診した結果、肺がんが見つかったとします。
それは病気が見つかったという意味では不幸なことですが、早めに受診をした結果、早期のうちに見つけられた、と考えることもできます。これはすなわち「不幸中の幸い」とも言えますね。
がんが進行すると気管支を刺激することで咳が出るようになったり、がんからの出血が痰に混じることで血痰を生じるようになったり、肋骨などに直接がんが浸潤して痛みを生じたりします。
残念ながらこのような症状が出てから発見される肺がんはすでに進行していて、根治(病気を完全に治すこと)は難しくなります。
どうすればいい?
検診の胸部レントゲンで異常が指摘されたら、早めに医療機関を受診しましょう。
この場合は肺癌の専門医のいる医療機関を受診するのがよいでしょう。
所沢中央病院では所沢市肺がん検診委員会・委員でもあり呼吸器外科専門医(所沢市内では5名しかいません)でもある喜多秀文医師と恩田貴人医師が責任を持って初診からご対応させていただきます。
胸部レントゲン異常で受診された場合、指摘された異常陰影をより詳しく調べるために、まずは胸部CTを撮影します。
- 数ミリレベルの小さな病変も発見できる場合があります。
- 病変の広がりを立体的に把握することができます。
- 短時間で広範囲の検査が可能です。
ここまでのステップで専門医が肺がんの可能性ありと判断した場合、さらなる検査を追加し病期(ステージ)診断に進みます。
採血にて全身状態のチェック(貧血の有無、肝・腎機能異常の有無など)に加え腫瘍マーカーを調べます。また、遠隔転移(肺以外の臓器への転移)のチェックのため頭部MRI検査やPET-CT検査等を行います。がんが一部にとどまっている場合は手術で病巣を切除することで、根治を目指します。
ではここで、当科の具体的な例を見てみましょう。 患者さんは73歳
女性です。肺がん検診レントゲンで「精密検査が必要」と指摘され当院・呼吸器外科外来を受診されました。その時のレントゲンです。
左肺の真ん中の辺り(中肺野といいます)に楕円形の小さな影を認めました。
ここで胸部CTを撮影すると・・・
上下に分かれている左肺の下(下葉といいます)に約2cmの円形の影(結節影といいます)が見つかりました。この時点で我々は肺がんを疑い、PET-CTを撮影しました。
胸部CTで認めた影が赤く染まっています。これはがんの可能性が極めて高いということを意味します。
幸いにも早期に発見されたため他の臓器に転移はなく、根治的手術(左下葉切除)が行われました。
結果はステージⅠA2期の早期肺がん(腺がん)でした。手術から5年が経過しましたが、がんの再発なく今でもお元気に我々の外来に定期通院してくださっています。
肺がんは早期発見・早期治療が一番大切です。
そして、肺がん専門医のいる医療機関を受診することが大切です。
当院では初診から呼吸器外科専門医が対応し、診断から治療まで迅速かつ丁寧に責任を持ってサポートさせていただきます。
胸部レントゲン検査にて「精密検査が必要」と判定された場合は是非ご相談ください。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。