部門紹介

診療内容と対象疾患

当院外科は、常勤医師5名に加えて数名の非常勤医師の協力を得て、外来診療・入院治療・内視鏡検査・手術など幅広い診療を行っています。また、日本外科学会および日本消化器外科学会から防衛医科大学校外科の関連施設として認定されており、日本消化器内視鏡学会の指導施設にも指定されています。さらに、当院は外科専門医養成にも積極的に取り組んでいます。2016年8月より防衛医科大学校外科、2020年12月より杏林大学外科の専門研修を実施しており、若手医師の研修・教育の場としても重要な役割を担っています。

急性腹症に対する治療

当院外科の最大の特徴は、急性腹症に対して常に臨戦態勢で対応していることです。急性腹症とは、腹痛などを主症状とし、手術の要否やそのタイミング、さらには高次救急病院への搬送の判断が必要となる疾患を指します。そのため、救急車での搬送や近隣病院・クリニックからの紹介が非常に多く、これが手術件数の増加にも直結しています。実際に、2024年度の当院外科手術症例の約25% は、胆嚢炎、虫垂炎、腸閉塞、消化管穿孔による腹膜炎など、急性腹症に対する手術となっています。

低侵襲手術への取り組み

当院外科では、腹腔鏡手術を中心とした低侵襲手術 にも積極的に取り組んでいます。特に、2015年度に導入した鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下修復術は年々増加しており、2017年度には年間100例に達し、2021年度以降は150例前後を維持しています。2020年度からは、腹腔内到達法(TAPP)に加えて腹膜外到達法(TEP)も取り入れ、患者様のニーズに幅広く対応しています。また、急性疾患である胆嚢炎や虫垂炎に対しても、ほとんどの症例で腹腔鏡下手術を実施しています。さらに、胃・大腸癌などの悪性疾患についても、病期に応じて腹腔鏡下切除術を選択しており、2024年度は手術症例の60%以上 が腹腔鏡下手術となっています。

悪性腫瘍に対する治療

一方で、悪性腫瘍に対する治療については、がん診療指定病院である防衛医科大学校病院と連携し、胃・大腸をはじめとする消化器がんの手術を行うとともに、多様化する化学療法や疼痛緩和を中心とした緩和医療にも取り組んでいます。2024年度の手術件数は胃がん7例、大腸がん45例でした。化学療法を必要とする症例には中心静脈がん化学療法用埋込型カテーテル(CVポート)を挿入し、外来または入院で化学療法を実施しています。また、近隣クリニックからのCVポート挿入依頼にも対応し、2024年度は42例を実施しました。

緩和医療の一環としては、腹水貯留に対する腹水濾過濃縮再静注法(CART)、麻痺性イレウスに対する高気圧酸素治療(HBO)、経口摂取困難な症例に対する胃瘻造設(PEG)などを積極的に実施しています。2024年度はCART 69件、HBO 61件、PEG造設42件(pull法31件、introducer法11件)でした。さらに、通院が困難になった患者様については、患者サポートセンターを通じて療養型病院や緩和ケア病棟への転院、在宅医療への移行を支援し、がん治療の開始から終末期医療まで切れ目のない医療を提供しています。

このように、当院は地域に根ざした病院として、近隣の皆さまが安心して医療を受けられるよう万全の体制を整えています。今後とも皆様に信頼いただける医療を提供し続けてまいります。

日本外科学会関連施設
日本消化器外科学会関連施設
日本消化器内視鏡学会指導施設
日本がん治療認定医機構がん治療認定研修施設

業績(論文・口演等)

2020年

  • 第82回日本臨床外科学会総会(大阪) 2020年11月22日
     下位洋史,中村康弘,松本淳,大草康(所沢中央病院),関田吉久,佐藤裕理,大倉史典,高西喜重郎(多摩北部医療センター)
     「単純性小腸イレウスで発症した外鼠径ヘルニア偽還納の一例」
  • 第33回日本外科感染症学会(浅草・Web開催) 2020年11月27日
     赤崎卓之,大草康,松本淳,中村康弘,下位洋史,上野秀樹
     「高齢者手術における術後感染症合併のリスク因子について」

2022年

  • 第84回日本臨床外科学会総会(福岡) 2022年11月25日
     下位洋史,高木理子,中山快貴,大草康
     「鮒田式内視鏡的胃壁固定を行った反復性胃軸捻転症の一例」

2023年

  • 第867回外科集談会(東京) 2023年3月18日
     中山快貴,下位洋史,北幸紘,久保徹,高木理子,大草康
     「大腸癌の経過中に皮膚腫瘍を発症してLynch症候群の診断に至った2例」
  • (学会名不明:投稿用?)
     高木理子,大草康,下位洋史,久保徹,中山快貴
     「若手外科医におけるTAPP法のラーニングカーブに関する検討」
  • 第85回日本臨床外科学会総会(岡山) 2023年11月18日
     矢那瀬拓哉,下位洋史,久保徹,中山好貴,大草康
     「腹腔鏡下に修復した鼠径ヘルニア偽還納の2例」

2024年

  • 第59回日本臨床外科学会(宇都宮) 2024年11月22日
     矢那瀬拓哉,中村康弘,大草康,下位洋史,久保徹
     「腹腔鏡下に治療を行った盲腸周囲ヘルニアの1例」

2025年

  • 第58回日本成人病(生活習慣病)学会(東京) 2025年1月12日
     中村康弘,倉澤秀紀,矢那瀬拓哉,久保徹,下位洋史,大草康
     「当院における85歳以上の高齢者に対する大腸癌手術治療の短期成績」

実績

実績~2025

スタッフ紹介

常勤医師

副院長・外科部長
大草 康(おおくさ やすし)

ご挨拶・モットー

昭和63年に防衛医大を卒業し自衛隊病院等で勤務した後、平成28年8月に当院に着任しました。消化器一般外科を専門とし、主に消化器疾患を担当しております。

 当院の強みは、院内の他診療科及び近隣の医療機関との連携が充実していることだと考えます。また、日本外科学会及び日本消化器外科学会の専門医制度における防衛医大外科及び杏林大学外科の関連施設として認定され専門研修医の受け入れ態勢を整えております。このような体制の元、外科の精鋭4名とともに、さらに安全で質の高い医療を提供することにより、患者の皆様に安心して治療を受けていただけるよう努めてまいりますのでよろしくお願いいたします。

出身大学
  • 防衛医科大学校(昭和63年卒)
学位・専門医
  • 医学博士
  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会指導医・専門医
  • 日本消化器内視鏡学会指導医・専門医
  • ICD制度協議会ICD (インフェクション・コントロール・ドクター)
  • 日本臨床外科学会評議員

下位 洋史(しもい ひろし)

ご挨拶・モットー

消化器・一般外科医として、杏林大学病院、多摩北部医療センター、外科等で修練してまいりました。上下部消化管疾患治療、胆道系疾患治療の他、鼠径ヘルニアや、臍ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニアなど、腹壁ヘルニア手術を担当させていただきます。所沢の皆様のお役に立てます様、頑張ります。宜しくお願いします。

出身大学
  • 杏林大学(平成4年卒)
認定医・専門医等
  • 外科専門医
  • 日本DMAT隊員

久保 徹(くぼ とおる)

ご挨拶・モットー

防衛医大病院・自衛隊病院をはじめとする防衛省関連施設に20年勤務の後、令和4年9月から当院に勤務しています。これまでの経験を生かし、私自身が慣れ親しんだ所沢の地域医療に貢献したいと思います。よろしくお願い致します。

出身大学
  • 防衛医科大学校卒(平成14年卒)
専門領域
  • 消化器外科
認定医・専門医等
  • 医学博士
  • 日本外科学会専門医、指導医
  • 日本消化器外科学会専門医、指導医
  • 日本大腸肛門病学会専門医
  • 緩和ケア研修会 修了

中村 康弘(なかむら やすひろ)

ご挨拶・モットー

胃癌や大腸癌をはじめとした癌に関わる診療や、鼠径ヘルニア、虫垂炎、胆石症など一般外科的な分野も担当させていただきます。
通常診療では患者様に寄り添って、なるべく分かりやすい診療を心がけております。何卒よろしくお願い申し上げます。

出身大学
  • 杏林大学(平成21年卒)
専門領域
  • 消化器・一般外科
認定医・専門医等
  • 外科専門医
  • 消化器外科専門医
  • 消化器がん外科治療認定医
  • 難病指定医
  • 緩和ケア研修会 修了

非常勤医師

氏名専門領域 
高畑 りさ一般外科
北 幸紘形成外科
志水 正史血管外科
関 理枝子乳腺外科
矢口 義久消化器外科
髙尾 幹也消化器外科